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ますく堂なまけもの叢書⑫ 百人のためのエンターテインメント ~読書サロンにて『須永朝彦小説選』を読む~

2021年5月15日、幻想文学の泰斗・須永朝彦先生が急逝されました。享年・七十五。 本書は、須永氏の死後、追悼出版として、ちくま文庫より刊行された山尾悠子・編『須永朝彦小説選』をテキストに開催された読書会の記録をメインとした文芸同人誌です。 須永先生は、私ども《ますく堂なまけもの叢書》にとっては創刊以来の読者であり、刊行のたびに応援いただいた恩人でもあります。 読書会には、台湾の研究者である劉靈均さんにもご参加いただき、劉さんによる須永文学に係る研究成果も踏まえながら、新たな「須永朝彦読解」をお示しできたのではないかと自負しております。 後半の須永朝彦トリビュートも、充実した内容。 ■じきにすべてがはいになる/トット  須永作品のやんちゃぶりにリスペクトを捧げたかのような、キッチュな掌編小説です。 ■東アジアの「少年愛」から台湾「同志」へと/劉靈均 台湾の研究者による須永朝彦論文を初訳にてお届け。セクシュアルマイノリティの可視化という観点から、須永朝彦の仕事が果たし得た役割について考察する、極めて重要な作品です。 ■須永朝彦と恋愛ルッキズム論争/ヘイデン 須永文学とルッキズム──これからの須永文学受容を占う意味でも大変興味深いテーマに取り組まれています。 ■須永カルチャーセンターの思い出/益岡和朗 須永朝彦氏が朝日カルチャーセンター新宿教室で開講した2005年4月~2011年5月までの(おそらくは)全講座内容について、同時の資料を基に紹介しました。資料的な側面からも、今後の「須永朝彦研究」に資するものであると自負しております。 ■アゾレス島の踊/マヌエル・デ・カスティーリョ 須永朝彦偏愛の葡萄牙語圏作家マヌエル・デ・カスティーリョの未紹介作品を翻案にてお届け。須永先生のような美しい作品には仕上がりませんでしたが、暖かい目でお愉しみいただければ幸いです。 さらに、今回は、酒田楓さんによる須永朝彦作品をイメージしたカラーイラストを扉絵として掲載。 須永朝彦追悼号として、いつもとはひと味違う、スペシャルな一冊に仕上がったものと思います。 願わくは、この一冊が須永朝彦文学との良き出会い(再会?)の場として、愛し、愛されますように……

2021年5月15日、幻想文学の泰斗・須永朝彦先生が急逝されました。享年・七十五。 本書は、須永氏の死後、追悼出版として、ちくま文庫より刊行された山尾悠子・編『須永朝彦小説選』をテキストに開催された読書会の記録をメインとした文芸同人誌です。 須永先生は、私ども《ますく堂なまけもの叢書》にとっては創刊以来の読者であり、刊行のたびに応援いただいた恩人でもあります。 読書会には、台湾の研究者である劉靈均さんにもご参加いただき、劉さんによる須永文学に係る研究成果も踏まえながら、新たな「須永朝彦読解」をお示しできたのではないかと自負しております。 後半の須永朝彦トリビュートも、充実した内容。 ■じきにすべてがはいになる/トット  須永作品のやんちゃぶりにリスペクトを捧げたかのような、キッチュな掌編小説です。 ■東アジアの「少年愛」から台湾「同志」へと/劉靈均 台湾の研究者による須永朝彦論文を初訳にてお届け。セクシュアルマイノリティの可視化という観点から、須永朝彦の仕事が果たし得た役割について考察する、極めて重要な作品です。 ■須永朝彦と恋愛ルッキズム論争/ヘイデン 須永文学とルッキズム──これからの須永文学受容を占う意味でも大変興味深いテーマに取り組まれています。 ■須永カルチャーセンターの思い出/益岡和朗 須永朝彦氏が朝日カルチャーセンター新宿教室で開講した2005年4月~2011年5月までの(おそらくは)全講座内容について、同時の資料を基に紹介しました。資料的な側面からも、今後の「須永朝彦研究」に資するものであると自負しております。 ■アゾレス島の踊/マヌエル・デ・カスティーリョ 須永朝彦偏愛の葡萄牙語圏作家マヌエル・デ・カスティーリョの未紹介作品を翻案にてお届け。須永先生のような美しい作品には仕上がりませんでしたが、暖かい目でお愉しみいただければ幸いです。 さらに、今回は、酒田楓さんによる須永朝彦作品をイメージしたカラーイラストを扉絵として掲載。 須永朝彦追悼号として、いつもとはひと味違う、スペシャルな一冊に仕上がったものと思います。 願わくは、この一冊が須永朝彦文学との良き出会い(再会?)の場として、愛し、愛されますように……